「トマスの懐疑」の図像-分類- [キリスト教図像学]
西方タイプ・・・左右非相称の構図が多い
東方タイプ・・・左右相称の構図が多い
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タイプA・・・キリストの傷を見て、トマスが信仰告白をしている場面を描く。閉じた扉はキリストの神性を表し、聖書の「戸にはみな鍵がかけてあったのに、イエスが来て真ん中に立ち」という部分を視覚化したもの。復活したキリストが現実の肉体を伴って現れるため、キリストの神性を表すために鍵をかけた扉が描かれる。
ラヴェンナ サンタポリナーレ・ヌオーヴォ聖堂 5世紀末 (493-496) /519年
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タイプB・・・キリストは左手を上げ(またはオランスのポーズ)、トマスは自分の意志で指を差し入れている。4世紀にはキリストが右手を挙げている作品もあったが、アウグスティヌスによって脇腹の傷が「善」の側である右脇腹(むかって左)であるべきだと論じられて以来、「右脇腹」の傷、キリストが右手を挙げるポーズが主となる。
ミラノの石棺 浮き彫り 4世紀第二四半世紀
北イタリア制作の象牙版 420-430年
コデックス・エグベルティ
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タイプC・・・キリストは右手でトマスの腕をつかみ、その指を傷口に入れさせている。初期にはシリア・パレスティナに作例が見られ、その後はコプト13番を除いてはほとんど用いられなかった。ビザンティンでは左右相称の構図をとりながら、タイプBの図像へと移行。その逆に、中世後期のライン河流域において、タイプCの作例が散見されるようになる。
モンツァの聖地記念香油瓶 6世紀初頭 モンツァ 書物=学識を表すアトリビュート
ストラスブール 聖トマス教会 テュンパヌムの彫刻 1230年