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ヴェロネーゼ 美徳と悪徳の間の若者 参考図版 [ルネサンス美術]

ヴェロネーゼ 美徳と悪徳のあいだの若者 1580-1582年頃(1560-70年代に位置付ける説もある) プラド美術館

 

ヴェロネーゼ 美徳と悪徳のあいだの詩人 1578-1580年頃 ニューヨーク、フリック・コレクション

 

デューラー 別れ道のヘラクラス 1498 ニューヨーク、メトロポリタン美術館

 

カラッチ 別れ道のヘラクレス(ヘラクレスの選択) 1596年頃

 

美徳と悪徳という抽象的な概念を擬人化し、悪徳の擬人像が誘う享楽の道を退け、美徳の擬人像に従って禁欲的で困難な道を選ぶ、というテーマはヘラクレスの物語に由来する。一般に「別れ道のヘラクレス」、あるいは「ヘラクレスの選択」として知られるこの主題は、古代ギリシアのソフィスト、プロディコスが創作したものである。若者の前に二人の女性が現れ、ひとりは扇情的に着飾り、主人公に世俗的な楽しみを全て与えようとする。これは<悪徳>、あるいは<淫欲>の寓意である。しかし、若者は迷った末、衣服で厳格に身を包んだ女性、すなわち<美徳>の指し示す困難な道を歩み始める。それはたいてい岩だらけの細い道として描かれるが、その先には名声を象徴するモティーフが描かれるか、あるいは神々の恩寵が予期されているのである。この寓話は、クセノフォンが著した『ソクラテスの思い出』において語られ、ルネサンスおよびバロック絵画の主題として好まれた。元来、異教起源の挿話であるが、聖バシリウスによって美徳と悪徳との間における魂の葛藤、プシュコマキア(霊魂の戦い)と結びつけられ、キリスト教道徳の視覚化と見なされた。


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