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リポイのサンタ・マリア修道院 西正面扉口大彫刻 [ロマネスク美術]

リポイのサンタ・マリア修道院 西正面扉口大彫刻 19世紀のデッサン

Arxiu Històric Comarcal de Ripoll所蔵の写真より複製(原画の所蔵先は不明)

リポイのサンタ・マリア修道院 西正面扉口大彫刻 現況

西正面に取り付けられた巨大な彫刻は上下七層より成り、黙示録のヴィジョンと旧約聖書の図像が統合された複雑な構成となっている 。上段の第一層にはパントクラトール、すなわち黙示録の神、および天使、二十四人の長老、第二層には二十二人の祝福された使徒と聖人が表されている。また、第一層と第二層にまたがって、四福音書記者のシンボルが配されている。第三層と第四層には、向かって左に上限二段にわたって 「列王記」におけるダヴィデ王とソロモン王の物語、右側の二段には「出エジプト記」の諸場面が配されている 。第五層は左にダヴィデと四人の音楽家、右に律法の授与(イスラエルの民と神)がテーマとなっている。第六層にはダニエルのヴィジョンが表され、向かって左はダニエル書第八章の「雄羊と雄山羊の幻」、右はダニエル書第七章の「四頭の獣の幻」である。最下段の七層目には、左にグリフィン(キリストの神性と人性の象徴)と獅子、右に地獄に堕ちた人々が表され、細く帯状に連なる植物装飾の中に組み込まれている。扉口大彫刻中央部のヴッシュールは、七重の半円アーチによって構成され、動植物装飾による27のメダイヨン(頂点は神の子羊)、ペテロ伝サイクルおよびパウロ伝サイクル、ヨナ書・ダニエル書の諸場面などが彫刻されている。これらのアーチを支える柱の部分には黄道十二宮、聖ペテロとパウロの全身像が見出される。アーチの内側には再び全能の神、神のために香をたく天使、カインとアベルの物語、月歴が配されていれており、訪問者はこうしたヴッシュールの彫刻を見ながら、聖堂内部へと至る唯一の入口を通過することとなる。


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イスラーム建築参考文献 [書誌情報]

イスラーム建築参考文献

1. 深見奈緒子 『イスラーム建築の見かた 聖なる意匠の歴史』 東京堂出版、2003年

  イスラーム建築用語を楽しみつつ覚えることができる良書。

2. アンリ・スティアリン 『ISLAM イスラム 初期の建築 バグダッドからコルドバまで』 TASCHEN(タッシェン・ジャパン)、2002年

  カラー図版が豊富。

3. ジョン・D・ホーグ 『図説世界建築史第6巻 イスラム建築』 山田幸正訳、本の友社、2001年

  図版は主に白黒だが、イスラーム建築史を通観することができる。


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【美術・建築用語】 マスクーラ [美術・建築用語集]

マスクーラ:貴賓席(イスラーム建築用語)

 

マスクーラ(貴賓席)は金曜モスクの核を成し、中央ミフラーブの前に特別に仕切られた区画。マスクーラのないモスクも多く、可動式のものもあった。

 

参考文献: 深見奈緒子 『イスラーム建築の見かた 聖なる意匠の歴史』 東京堂出版、2003年
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【美術・建築用語】 ミフラーブ  [美術・建築用語集]

ミフラーブ(イスラーム建築用語)

 

・ミフラーブはメッカの方角を指し示す。 

・モスクの奥の壁がキブラ壁となるが、その壁にミフラーブが取り付けられる。

・上部がアーチ型のニッチとなっているものが多く、キリスト教会堂のアプシス、仏教寺院の龕との関連性が指摘されている。

・新説としては、メディナの預言者のモスクにあるムハンマドの墓と玉座のイメージと重ね合わされているとする考え方もある。(玉座は4本の柱の上にドームが載っていたらしい。)

・それゆえ、ミフラーブと死者を葬る墓との関連性が指摘されている。

・一つのモスクに一つのミフラーブがあるとは限らず、複数のミフラーブが並ぶ形式もある。

・ミフラーブが部屋になっていることもあり、そこにカリフが入っていくという儀式もあった。

・植物文様、幾何学紋、文字紋によって装飾されることが多い。

 

参考文献: 深見奈緒子 『イスラーム建築の見かた 聖なる意匠の歴史』 東京堂出版、2003年


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